相続・遺産分割
被相続人の死亡により相続が発生しますが、遺言書がない場合は、相続人間で遺産分割協議を行うことになります。
協議がまとまれば、遺産分割協議書を締結します。遺産分割協議書があれば、不動産の名義変更や被相続人名義の預金の引出しが可能になります。遺産分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停・審判を申し立てます。
遺産分割調停が不成立になると審判に移行します。審判により不動産を分ける場合、①現物分割、②代償分割、③換価分割、④共有分割の4種類の方法があります。
①現物分割は、文字どおり、一筆の土地を分筆して、分筆された土地を相続人で分ける方法です。
②代償分割は、例えば、相続人の1人が土地全部を相続する代わりに、何も相続しない相続人に代償金を支払って清算する方法です。
代償分割が認められるための要件は家事事件手続法195条に「特別の事情」がある場合と規定されています。この「特別の事情」とは、ⅰ現物分割が相当でないこと、ⅱ代償分割により財産を取得する相続人に代償金の支払能力があることが要件とされています。
③換価分割は、競売によって遺産である土地建物を売却し、その売却代金を相続人で分配する方法です。最近では、誰も住む予定のない実家を換価分割するというケースが見られます。遺産分割審判において換価分割がなされるのは、現物分割が困難であり、代償金を支払えない場合です。
④共有分割は、不動産を相続人の法定相続分どおり共有とする方法ですが、共有のままですから根本的解決にならず、将来的な利用・処分も困難となります。